旧通産省工業技術院の飯塚幸三元院長(87)です。
飯塚元院長が逮捕されないのは中央省庁の“お偉いさん”だったから?交通事故で逮捕される人、されない人の線引きはあるのでしょうか?
菊地幸夫弁護士に伺います。
菊地弁護士:
「逮捕されないのは、体調や年齢などからではないでしょうか。まずですね、『逮捕』はなぜされるんでしょうか
。これは、証拠をちゃんと確保するという目的があります。隠滅したり誰かと口裏を合わせたりしないようにですね。
ところが、この被疑者は事故でケガをして入院したということで、つまり体調が悪いと。だからそこから外に出ないとすると、現場に行って何か証拠を拾って隠しちゃおうとかいうことはしないでしょう。
それからかなり高齢ということもあって、逃亡ということもあまり考えられません。そういうことで、証拠を損ねる行動はとりあえず予測できないということで、
逮捕までしなくてよいだろうという判断、ということだと思います」
Q.取り調べる時に身柄を拘束するかしないかということであって、そこに“上級国民”だからという話が今回関わっているわけではないであろうと?
菊地弁護士:
「逮捕は罰ではないんですね」
Q.あと容疑者という言葉をメディアが使わないことについても、そういう“忖度”があるように思う方がいらっしゃるかもしれませんが、
これも、容疑者という言葉に法的な根拠があるわけではなくて、取り調べる際に身柄を拘束するかしないかでメディアが線を引いて、
肩書きで呼ぶか、容疑者とつけるかという判断をしているだけです。その上で、今後、飯塚元院長が罪に問われるかどうかですが
、逮捕でも任意捜査でも将来的に起訴されて裁判などにかけられる可能性は十分にあるんですよね?
菊地弁護士:
「もちろんです。お二人が犠牲となり、本当に痛ましい事件でして、裁判にかけられないということはまず考えられません。ですから起訴されて裁判という方向へ行くと思います。
そのためには、“逮捕されなければならない”ということではないんですね。在宅で、任意でということでも十分にあり得ますし、最終的に有罪になれば、懲役という形で身柄をとられるのはあり得ることです」
Q.逮捕するかしないかが、すなわち罰ではないということですね。その上で、もし起訴されて裁判へ行くと、どのような罪が考えられるのでしょうか?
菊地弁護士:
「今のところ『過失運転致死傷罪』が有力です。
20年以下の懲役となる『危険運転致死傷罪』というのは非常にケースが限られています。
そこで想定されるのが、7年以下の懲役・禁錮または100万円以下の罰金となる『過失運転致死傷罪』。そのような見通しです」
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